救命救急センター
ごあいさつ
救命救急センターの役割
救命救急センターは、国策として昭和52年から人口100万人に1施設の割合で設置されることになり、当院は平成6年、三重県で2番目に救急救命センターの指定を受けました。
当院の救命救急センターの主な役割は、北勢地区の救急患者さんを受け入れ、傷病の安定化を図り、各診療科につなぐことです。また、重篤な患者さんをたらい回しにしたり、長時間待たせたりすることがないよう、三重県全域で発生する救急事案に対して広域に対応することも求められています。
当院の救命救急センターには、救急・集中治療科があり、救急医と集中治療医が担当診療科の主治医と緊密に連携し重篤な患者・病態に対する集中治療を行っています。

救急医は、救急車・外来の救急患者さん、容体の悪化した入院患者さんの状態安定化、原因診断を行い、専門の治療科につなぐ役割を、また、集中治療医は、患者さんが重症化(敗血症、ショックなど)した場合に、挿管し、人工呼吸器を着け、PCPS(経皮的心肺補助)やECMO(体外式膜型人工肺)など呼吸循環を補助する機械を使用して容体を安定させ診療科医師につなぐという役割を担っています。
当院の救命救急センターの強み

三重県内の2次救急病院では、重症の患者さんが搬送された場合、その患者さんにかかりっきりになり、継続した患者さんの受け入れができない場合があります。当院の場合は、内科医、外科医、小児科医、産婦人科医の当直だけでなく各診療科の待機当番医師がいるので、救命救急センターで初期対応した後に、各診療科の待機している先生につなぐことで、救急受け入れ対応を継続して行うことができます。
そして、当院の救命救急センターでは、徐々に整備が進んでいます。現在は救急医が3名になり、集中治療の専門医も取得して、新しく集中治療科ができました。集中治療の体制が整ったことで、当院も県内2番目に集中治療専門医研修施設の認定を受け、当院の研修によっても集中治療医の専門医の資格を取得できるようになりました。
今後さらに、さまざまな重症患者さんに対応するためには、色々な機械が必要になり、機械を扱う技師や看護師の教育も必要になります。設備投資が進み、患者さんをより安全に診ることができる体制を作りつつあります。
救急医・集中治療医を目指す方へ
救急医、集中治療医とは何かということを理解していただきたいと思います。5年後10年後にどのような仕事をしているかというイメージを持つことが大切です。救急医は仕事の幅が広いので心臓や血液など1つ強みを持つ、例えば「心臓に詳しくて、救急対応ができる医師」といったように将来像が見える意識を持つよう研修を行っています。また、将来どんな診療科に行っても、救急の患者さんや重症ケースは避けられないので、救急の知識、専門医を持っていると自信になります。
集中治療室で患者さんを診ることで、心臓、脳、整形などの強みを持った救急専門医・集中治療医になれます。研修医の興味や適性に沿った研修を提供していきたいと考えています。
三重県の災害対策における医療課題
三重県内の病院は、海岸線の低地に多く、多くの病院が津波により孤立・機能不全になると考えられます。そのため、緊急時のネットワークが重要な課題です。当院では、四日市の4病院で連携体制を整えています。災害時には適宜お互いの状況を確認し合い、各病院の強み弱みを活かして、患者さんを相互に移送するなどの決め事を意見交換しながら作り上げています。この取り組みを北勢地域に広げて一人でも多くの人々を救いたいと考えています。
また、三重県南部で災害が起こった場合、現地の状況を把握しないと必要な準備ができません。現状では現地の情報を得る体制ができていないので、情報がないところへは誰かが実際に見に行かないといけません。南海トラフ地震の場合は、三重県南部にある大半の病院に被害が出ると想定されています。孤立・機能不全に陥った場合に現地の情報を素早く把握し、どのような支援が必要かを迅速に情報を共有する体制づくりが大切です。しかし、現状は物資を運ぶにもまずはレンタカーの手配からしないといけないなど、災害対策には課題がたくさんあります。三重県の体制として物資の支援は充実していますが、災害医療はこれからと思います。
当救命救急センターは、三重県唯一の基幹災害拠点病院として、災害対策室を設置し、南海トラフ地震に備えています。
増加する救急受け入れ

近年は、年間5,000件近くの救急患者さんを受け入れております。ただ、月に600件近く受け入れたこともあり受け入れ数が増えた場合も対応しています。当院は、病棟側スタッフの対応が非常に良く、件数が増えた時に上手に対応しています。
市立四日市病院も救急受け入れを非常に頑張っていただいておりますが、もし当院か市立病院のどちらかが救急対応に支障がでると北勢地域の救急医療は破綻してしまいます。桑名市総合医療センターが完成し、少し改善されましたが、いなべや鈴鹿の方はまだまだ救急体制が十分ではありません。北勢地域の救急医療のバランスを保つ上で、当院もまだまだ受け入れを拡充する必要があると考えています。
地域かかりつけ医の先生方へ
当院の救命救急センターは重症患者さんを安定させることが目的なので、緊急の際にはお気軽にご相談ください。また、状態が安定した患者さんについては、再びかかりつけ医の先生をご紹介させていただいておりますので、ご協力をお願いいたします。
救命救急センターの業務案内
業務概要
救命救急センターは、北勢保健医療圏における三次救急医療を担い、24時間365日体制で重症救急患者に対する高度・専門的な医療の提供を行っています。また、二次救急医療を周辺病院との病院群輪番制方式により担うことで、休日・夜間における救急患者に対する医療を行っています。救急・集中治療科では、各診療科・センターと連携し、専門的診療が適切に開始されるまでの初期診療を担っています。さらに、災害対策室を有し、大規模災害時には重症患者を受け入れるとともにDMATを被災地に派遣しています。
特長
三重大学医学部附属病院救命救急センター救急研修プログラム連携研修施設(日本専門医機構の救急科領域専門研修プログラム)
当院は救急科専門医の資格取得に必要な研修を受けることができます。
集中治療専門医研修施設
当院は平成30年4月に、県内2番目の集中治療専門医研修施設として認定を受けました。三重県ではまだ数少ない日本救急医学会指導医や集中治療医学会専門医が勤務しており、救急医療・集中医療の指導を直接受けることができます。
また、当院の集中治療室では、他の地域医療機関で発生した重篤患者の対応も請け負っております。
基幹災害拠点病院
当院は、三重県の基幹災害拠点病院として他の12地域災害拠点病院と協調し、発災時の迅速な災害医療を行う役割を担っています。
災害派遣医療チーム「DMAT」

災害派遣医療チームは、「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義され、英語のDisaster Medical Assistance Teamの頭文字をとりDMAT(ディーマット)と呼ばれます。DMATは大規模災害や多傷病者が発生した事故等の急性期(おおむね48時間以内)に現場活動できる専門的な訓練を受けた機動性を持つ医療チームです。医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、1チーム4~5名で活動します。業務は災害本部活動、広域医療搬送、病院支援、域内搬送、現地情報収集や人命救助の現場活動等多岐にわたり、自己完結型で遂行します。大規模災害では多数のDMATが組織的にこれらの業務を行います。

当院では、災害医療派遣の要請に応える為にDMAT隊員を養成し、現在は、26名の隊員がいます。先の東日本大震災、熊本地震ではチームを派遣しました。また、DMAT隊員以外でも県内の他の病院と協力し救護班を派遣しました。
屋上ヘリポート

当院は屋上にヘリポートを有しており、ドクターヘリ、防災ヘリによる重症患者の搬送も受け入れています。
救急応需率
令和2年(2020年)における救急要請件数、4595件のうち、救急収容数4547件、応需率 99,0% となっております。詳細は以下のファイルのとおりです。
対応疾患
意識障害患者、急性心不全または慢性心不全の急性増悪(心筋梗塞、重篤な不整脈の患者を含む)、急性呼吸不全または慢性呼吸不全の急性増悪、急性薬物中毒、ショックまたはショックに陥る危険が差し迫っている患者、重篤な代謝障害、心肺蘇生術症候群、大手術後、重篤な基礎疾患を有する周術期の患者、多発外傷、広範囲熱傷、破傷風などで重篤な患者、多臓器機能不全(MOF)患者
救命救急センターを維持・整備していくために
救命救急の働きや今後の課題、場に携わる医師の想いを医療センターニュースで取り上げました。
設備・スタッフ
設備・医療機器
- ICU(集中強化治療室):6床
- HCU(救急治療室):18床
救急外来
ICU
連続的動脈圧心拍出量モニター
体外式人工呼吸器(救急外来用)
体制・スタッフ
理事長 兼 院長 兼 救命救急センター長新保 秀人 (シンポ ヒデト) 昭和54年医学部卒業 認定資格 ・日本外科学会専門医/指導医 救命救急センター副センター長 兼 医長伊藤 秀樹 (イトウ ヒデキ) 平成5年医学部卒業 認定資格 ・日本外科学会専門医 救命救急センター副センター長 兼 救急・集中治療科部長山本 章貴 (ヤマモト アキタカ) 平成9年医学部卒業 認定資格 ・日本救急医学会指導医 医長冨田 正樹 (トミダ マサキ) 平成18年医学部卒業 認定資格 ・日本麻酔科学会専門医
・日本胸部外科学会指導医
・心臓血管外科専門医/修練指導者
・日本心臓血管外科学会評議員/国際会員
・日本血管外科学会評議員
・臨床研修指導医
・三重大学名誉教授/医学博士
・American Association for Thoracic Surgery Active Member
・日本救急医学会専門医
・インフェクションコントロールドクターICD(日本救急医学会推薦)
・JATECインストラクター
・JPTECインストラクター(世話人)
・日本DMAT隊員(統括DMAT)
・NBCRテロ対策責任者
・臨床研修指導医
・災害コーディネーター
・警察医
・日本脳神経外科学会専門医
・日本集中治療医学会専門医
・日本脳神経血管内治療学会専門医
・日本DMAT隊員(統括DMAT)
・JPTECインストラクター
・MMC新医師臨床研修指導医
・三重大学医学部臨床教授
・麻酔科標榜医
・日本救急医学会認定ICLSコースディレクター
・JPTECインストラクター
・日本シミュレーション学会認定CVCインストラクター
・日本DMAT隊員
・臨床研修指導医
ご予約・ご紹介
救命救急センターは予約診療を行っておりません。
夜間・休日に受診が必要な場合は、まずは、かかりつけ医または各地域の夜間(休日)診療所へ連絡をして受診してください。
地域かかりつけ医の先生方へ
緊急時のご紹介は、代表番号から救急外来医師へご連絡ください。
059-345-2321
注意事項・お願い
救命救急センター面会時間
11時00分から20時00分
※1回の面会時間は30分以内とします
※緊急入院などの場合を除きます
面会時の注意事項
救命救急センターは清潔区域なので、入室の際は十分な手洗いをお願いします。