小児外科

小児外科

受診される皆様へ

 

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 子どもは大人と比べて体が小さくて、臓器も脆弱で、身体的、精神的にも発達段階にあり、年齢によって対応は大きく異なります。子どもについての専門的な知識を持った外科医、それが小児外科医であり、将来をになうこども達を、誇りと情熱をもって治療しています。小児外科医は、一般外科、成人消化器外科のトレーニングを受け外科専門医を取得し、その後に小児外科の専門的なトレーニングを受けて、専門医資格を取得しています。

 小児外科とは、いわゆる「小児一般外科」であり、当科では脳、心臓、大血管、整形外科の病気を除く、こどもの一般外科の病気の診療を行っております。つまり、小児の消化器外科疾患(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門、肝臓、胆道、膵臓)だけでなく、気管・肺疾患、腎臓・膀胱などの泌尿器疾患、卵巣疾患、陰部異常、臍の異常、鼠経ヘルニア・陰嚢水腫、睾丸異常(停留睾丸、移動性精巣、精巣捻転)などの外科疾患を中心に治療を行っています。また、便秘や、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患などの小児消化器疾患も専門としています。

 近年、国の施策として、お子さんが小児診療科から、移行期を経て成人医療診療科に移るトランジション医療が重要視されています。当科でも、患者さん個々人の状態やご家族と相談し取り組んでいます。もちろん、小児外科疾患の特殊性から、15歳を超えても、成人診療科にトランジションせずに、外科専門医としてそのまま小児外科でのフォローアップを継続している患者さんも多くみえます。

 北勢地域の医療機関の先生方や三重大学医学部附属病院と密に連携を保ちつつ、お子さんとご家族にベストの小児外科・小児消化器病医療を提供することを心がけております。

当院は日本小児外科学会認定の教育関連施設です

 2019年1月1日より当院は日本小児外科学会より教育関連施設に認定されております。
 日本小児外科学会認定の教育関連施設とは専門医育成のための専門研修施設群のひとつであり、小児外科専門医を目指す若手医師の修練の場として、患者様に安全で適切な医療を行うことができるよう心がけております。

NCD~専門医制度と連携したデータベース事業について~

 平成23年1月1日より、多数の学会・専門医制度が連携し、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上、治療成績の改善を目指すプロジェクト『一般社団法人 National Clinical Database』(NCD)の外科手術・治療情報データベース事業が開始されています。当院は、このNCDデータベース事業に参加し、より良い医療の提供に貢献したいと考えております。

 なお、詳細につきましては「NCDに関するお知らせ」をご参照ください。

当科での学術研究

 三重県立総合医療センター 小児外科では、学術研究「小児外科疾患に対する医療の改善を目指したデータベース作成と解析」を実施しております。この研究の目的は、小児外科の病気で当院を受診された患者さんの臨床経過を調べて、治療のさらなる向上を行うことです。対象となるのは年齢とは関係なく小児外科で治療を行うすべての病気の患者さんで、調査項目は個人情報を含まない医学的な情報(合併症の有無、治療経過等)のみです。患者様のお名前、住所などのプライバシーに関する情報が外部に漏れることは一切ありませんのでご安心下さい。
 この研究を実施するにあたり、研究者が製薬企業などからの資金提供を受けることはありません。

 なお、学術研究に関する詳細及び、ご協力いただけない方の連絡方法につきましては、研究センターの「研究情報の公開(オプトアウト)について」をご参照ください。

かかりつけ医の先生方へ

 当科では小児外科専門医が主体となって、小児外科疾患の診療を行っております。
 小児外科とはいわゆる「小児一般外科」であり、当科では脳、心臓、大血管、整形外科の病気を除くこどもの一般外科の病気の診療を行っております。
 対象となるのは0歳から15歳まで、新生児期・乳児期・幼児期・学童期・思春期の病気ですが、15歳を超えても小児外科で手術した病気が関係する場合はそのまま小児外科で診療を行います。また、状態に合わせて成人医療へ移行していきます。
 当院には専門知識を持った麻酔科医、看護師が多数在籍し、お子様やご家族に安心して手術を受けていただける環境となっております。

 

診療内容

小児外科疾患

 鼠径ヘルニア、虫垂炎、停留精巣、臍ヘルニア、腹壁ヘルニア、肛門周囲膿瘍、肛門ポリープ、尿膜管遺残、胃食道逆流症、包茎、胆道拡張症、若年性ポリープ、頚部膿瘍、腹腔内膿瘍、中腸軸捻転、腸管重複症、小腸捻転、メッケル憩室、腸重積、上部消化管出血、食道異物、頚部腫瘤、臍肉芽腫、卵巣嚢腫、リンパ管腫、気管切開、胃瘻造設など

鼠径ヘルニア

 鼠径ヘルニアとは、おなかの中で開いた穴からおなかの中の臓器(腸、大網という脂肪の組織、女の子であれば卵巣など)が飛び出して、陰嚢や足の付け根のところがふくれる病気です。出てくるのが腹水という液体だけの場合は、陰嚢水腫、精索水腫、Nuck水腫などの名前の病気になります。飛び出した臓器が締め付けられ、飛び出した部分の血の巡りが悪くなることがあります。これをヘルニア嵌頓 といいます。嵌頓を起こすと飛び出した臓器はむくんで、お腹の中に戻りにくくなります。いつでも起こる可能性がありますので、痛みや腫れがいつもより強い、触るといつもより硬くて痛がる、腫れているところが赤い、不機嫌がつづくなどの症状に注意してください。嵌頓した腸を飛び出したままにしておくと、腸がつまり、血の巡りが悪くなり、腸が腐って破れる可能性があります。嵌頓が疑われる場合は、すぐに当院に連絡してください(平日日中は小児外科外来、平日夜間、休日は救急外来へご連絡ください)。
 鼠径ヘルニアは自然に治る可能性は低く、治療には手術が必要です。手術は鼠径部切開法と腹腔鏡手術の二つの方法があります。入院はどちらの方法でも、1泊2日~2泊3日です。

鼠径部切開法

 昔からされている方法であり、足の付け根のところを1.5cm程度切って、ヘルニアの袋を切離し、縛って閉じます。

腹腔鏡手術

 当科では腹腔鏡手術はMontupetの手術で行っており、おへそのところとその左右に3mmの傷の合計3か所の傷で、おなかの中からヘルニアの袋を縛って閉じます。おなかの中から観察しますので、反対側のヘルニアの有無が確認できます。反対側にヘルニアを認める場合は傷を増やすことなく同時に手術が可能です。症状がなくても、当科では47%のお子様で対側のヘルニアを認め、ヘルニアを認めない場合もそれが確認できます。

鼠径部切開法と腹腔鏡手術の違い

  1. 腹腔鏡でおなかの中を確認すると症状がなくても鼠径ヘルニアが認められる場合があり、腹腔鏡手術は症状のない側も鼠径ヘルニアがあるかどうか確認できます。
    → もしあれば、傷を増やすことなく同時に手術が可能です。なければないことも確認できます。
  2. 腹腔鏡手術は両側鼠径ヘルニアの場合、手術時間が短縮できます。
  3. 腹腔鏡手術は術後の腸の癒着による腸閉塞のリスクがゼロではないと考えられます。
    → ただし、現在、鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術で術後腸閉塞になったお子様は当科ではおりません。
  4. どちらも絶食の時間や入院の期間は同じです。
  5. 再発率は同じくらいと考えられます。

診療実績

外来医師担当表

 
初診・予約診

内田 恵一

内田 恵一

14:00~

緊急の場合は、担当日と関係なく対応をさせていただきます。
紹介患者さんの診療予約が可能です。詳しくは患者診療予約のお申し込みをご参照ください。

スタッフ紹介

診療部長 兼 小児外科部長内田 恵一(ウチダ ケイイチ)

平成2年医学部卒業

認定資格

・日本外科学会専門医/指導医
・日本小児外科学会専門医/指導医
・日本消化器外科学会専門医/指導医
・日本大腸肛門病学会専門医/指導医
・日本小児栄養消化器肝臓学会認定医
・日本周産期新生児学会新生児認定外科医
・インフェクションコントロールドクターICD(外科感染症学会推薦)
・日本小児救急医学会SIメンバー