忍び寄る動脈硬化を予防!

 当院には、動脈硬化・血管外来という三重県また全国的にも珍しい専門外来を設置しております。なぜ、動脈硬化に特化しているのか、そもそも動脈硬化とはどのような状態なのか。当院の循環器内科部長であり、動脈硬化・血管外来の担当医である牧野医師にお話しを伺いました。
 なお、本ページは、医療センターニュース令和2年(2020年)秋号の特集「忍び寄る動脈硬化を予防!」を再構成したものです。
【インタビュー・撮影 令和2年(2020年)8月31日(月)、10月19日(月)】

動脈硬化とは・症状

副院長 兼 循環器内科部長 牧野 克俊

 動脈硬化とは、動脈の血管が加齢などに伴い硬くなっていくことであり、硬くなると同時に、血管の壁にコレステロールなどが沈着すると内腔が狭くなっていきます。進行しても当初は症状がありません。酸素の供給が不足すると、初めて胸痛などの症状が現れます。

 全身にある動脈のどこで動脈硬化が起こるかは分かりません。場所によって引き起こされる疾病も異なります。粥腫(※)の形成と血管内腔の狭窄に続き、粥腫の破裂と血栓形成によって血流が遮断されることで、細胞の壊死と重大な病気が引き起こされることになります。

 

(※)粥腫(じゅくしゅ)・・・血管の内側の壁にコレステロールなどが沈着して塊となっている状態。

動脈硬化が起こりやすい要因

 20歲を過ぎる頃から動脈硬化は始まっていると言われており、様々な要素が関与しているとされています。特に、以下の6つの危険要素を持っている方は普段から十分に注意する必要があります。

動脈硬化の予防法

動脈硬化と粥腫の破綻
(上段)粥腫の形成
(下段)粥腫の破裂と血栓形成

 危険要素のうち〈糖尿病・高血圧・高脂血症〉の疾患をお持ちの方は、かかりつけ医のもとでの治療、厳格なコントロールが必要です。〈肥満・遺伝・喫煙〉に該当する方は、危険要素を持っていることを自覚し生活改善に努めましょう。6つの危険要素を持っていない方も、暴飲暴食を控えたり、減塩、定期的な運動を行い、予防に心がけましょう。

地域の皆様へ

 まずは動脈硬化に関心を持っていただきたいです。特に基礎疾患をお持ちの方は、注意をしていただき、定期的な検査をお勧めいたします。実は普段の健康診断では全身の動脈硬化の進行を発見することは容易ではありません。当院の動脈硬化・血管外来は動脈硬化に特化した診療科ですので、ご不安な方はぜひお問い合わせ下さい。ある日突然の発作を未然に防ぐために、症状が無いうちから予防に取り組みましょう。

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