病院薬剤師の紹介(地域を支える当院のアンサングヒーロー)

 病院薬剤師は、あまり表に出ませんが、地域を支えるアンサングヒーロー(unsung hero 縁の下の力持ちの意味)として活躍しています。
 このページでは、当院で働く病院薬剤師の業務紹介、新人職員紹介、インタビューなどを通じて、どのような役割を担っているかについて紹介しています。
 なお、本ページは、医療センターニュース令和2年(2020年)夏号の特集「地域を支えるアンサングヒーロー」を再構成したものです。(インタビュー・撮影 令和2年(2020年)5月27日(水))

知ってほしい!病院薬剤師のお仕事

 病院薬剤師は、病院で働く薬剤師のことで、薬局で働く薬局薬剤師の業務とは異なり、入院患者さんの対応や救命救急現場などでの対応も行っています。

 病院薬剤師の主な仕事には、調剤業務と病棟業務があり、その中には問い合わせ対応や服薬指導など細かな業務が多くあるため、当院では調剤業務担当と病棟業務担当のそれぞれで以下の業務を行っています。

調剤業務

調剤室での業務

調剤

 処方箋に基づき、医薬品を調剤します。

監査

 「処方箋と照らし合わせ中身が誤っていないか」「処方箋内容が患者さんにとって適切な投与量・投与速度・服用方法かどうか」をチェックします。

払い出し

 薬を渡します。

 翌日に使用する薬や臨時で早急に使用する薬を準備します。

抗がん剤業務

 抗がん剤の払い出しや調剤、患者さんへの説明を行います。

ドラッグインフォメーション業務

 医師や看護師からの薬に関する問い合わせ対応を行います。文献だけではわからないことは製薬会社へ問い合わせ、その返答や様々な情報を総合的に判断しています。

 ※例えば・・・AとBの薬をなんとか1本の点滴の管で投与することはできないか? → 薬の配合を確認し、問題がある場合は回避方法を提案する、など。

院外薬局対応

 FAXで院外薬局からの問い合わせが届くので、患者さんの症状や状態に適切な量・飲み方か、などをチェックしています。

 ※当院では、院外処方箋に検査値を付記しているため、院外薬局の方も患者さんの腎・肝機能や電解質の値を確認することができます。それに基づいて問い合わせをいただくことがあります。

TDM(治療薬物モニタリング)

 薬の血中濃度を調べ、最適な用量や投与法を設定します。

カート業務

 手術室や他部門でよく使用する薬をカートに取り揃えたり、点検や管理を定期的に行います。

持参薬の鑑別

 患者さんが持参された薬を調べ、何を服用されているのか、重複している薬はないか、入院中に切れた場合は当院では何を処方するのか、などを記載した持参薬鑑別書を作成します。

 

病棟業務

服薬指導・チェック

 患者さんへ、新しい薬を服用する場合、作用・副作用、飲む目的や注意点を説明します。その後、正しい服用ができているか副作用が出ていないか、定期的に患者さんの元を訪ねてチェックします。

持参薬対応

 患者さんが持参された薬の用法・用量・数を確認し、医師の指示のもと、薬をセットします。また、入院中に持参薬が切れた場合、院内で準備する薬が適切かどうかをチェックします。特に手術前は、中止が必要な薬もあるので十分に確認します。

各病棟のカート業務

 各病棟の救急薬と配置薬の点検・管理を行います。

その他の業務

 医師や看護師からの問い合わせ対応

 点滴と内服薬の相互作用・重複の確認

 患者さんに合わせた薬整理

2020年入職の新人薬剤師紹介

 今年、入職した期待の新人薬剤師を紹介します。

青木薬剤師

【好きな事】 ゴロゴロしながらゲームをすること・畑仕事

【座右の銘】 何事も楽しく

【薬剤師になろうと思ったきっかけ】
 母が看護師をしていたこともあり、得意な数学・化学を生かして医療の中の薬剤師を目指しました。

【目標】
 今は正直、仕事量がすごいなと感じています(笑)何かを極めるスペシャリストも良いですが、いろんな領域の仕事ができるジェネラリストを目指しています。そのためにも、まずは一人立ちができるように頑張ります!

 

寺尾薬剤師

【好きな事】 嵐のDVD鑑賞・犬の散歩

【座右の銘】 人との出会いを大切に

【薬剤師になろうと思ったきっかけ】
  家族に医療従事者がいるので、自分も医療に携わりたいと思っていました。薬の体への作用に興味があり、自分が病気になった時に薬剤師の方が丁寧に説明してもらったことがきっかけです

【目標】
  患者様はもちろん、医師や看護師の方からも頼られる薬剤師になりたいと思っています。先輩薬剤師の方の姿を見て、自分ならどうするかと考えながらしっかりと勉強したいと思います。

 

杉村薬剤師

【好きな事】 料理・猫と戯れること

【座右の銘】 人生なるようになる

【薬剤師になろうと思ったきっかけ】
  体調が悪い時に、その症状が薬によって緩和されたことがきっかけで薬に興味を持ちました。そこから薬剤師という職業の存在を知り、目指そうと思いました。

【目標】
  「薬の事はこの人に聞けばいい!」と思ってもらえるようになりたいです。学校では詰め込んで詰め込んで勉強したつもりでしたが、現場は応用が多く、まだまだ力不足です。知識はもちろん人から聞いてもらいやすい雰囲気も持てるよう頑張ります。

 

薬剤師インタビュー:納得して治療を受けてもらうために薬剤師ができること

 当院で働く薬剤師にインタビューしました。

薬剤師を志すきっかけ

中道翔子薬剤師
薬剤師歴6年目
病院薬剤師として2棟、患者数約50~60名を担当

 私が中学三年生の頃、父が病気になり抗がん剤治療を行うことになりました。元々家族に医療関係者がいたので医療の道に進みたいと漠然とは考えていたのですが、この経験から治療の面で薬の存在の大きさを感じ、薬剤師を目指すようになりました。

薬局薬剤師・病院薬剤師の大きな違い

 薬局薬剤師は、飲み薬などの内服薬や貼り薬などの外用薬を主に扱います。病院薬剤師はそれに加えて点滴薬剤、注射薬、抗がん剤を多く扱うので、そこに違いがあります。また患者様との関わりでは、薬局だと患者様が通院される時がメインとなり、長期間にわたって関わることになるかと思いますが、病院では入院期間の限られた時間に一定期間関わり続けることになります。入院中は症状が変動することがあるため、状態に応じた対応を求められますし、退院後の生活を想定した薬剤指導を行うように心がけています。

服薬指導について

 薬を処方通りに飲んでもらえないことは、本当に多いです。飲み忘れという場合もあるのですが、自己中断されることが多いのです。「もう症状が無いから」「良くなったと思う」「親戚が言っていたあの薬が良い」などご自身で判断されてしまい、気づいたら薬が飲まれていないというケースが多々あります。

 そんな時は、薬の必要性を何度も何度も患者様や、必要に応じて、ご家族の方も巻き込んで説明させていただきます。以前にインスリン投与がなかなか上手くいかない患者様がいらっしゃり、何回も説明をさせていただきました。するとある日、投与の時間になると自主的にパンフレットを開いて看護師を待っていた、というエピソードを聞いた時は通い詰めたかいがあったなと感じました。

薬剤師として貢献できること

 医師がどれだけ良い薬を処方していても飲んでもらえないと体には効いてくれません。しかし、患者様によって治療に対しての考え方は異なり、私もそれを否定したり無理やり飲ませたいわけではありません。ただ当院での治療方針や薬について理解をしてもらい、納得いただいた上で治療に臨んでもらいたい、それが一番の想いです。

 患者様にとって私たち薬剤師は、話しやすいという印象をお持ちの方が多いようです。治療に対しての心配事や、医師には言いにくいなと思っていることを聞き、不安を解消するお手伝いができればと思います。

 薬の服用は入院中だけではなく、退院して普段の生活に帰ってからが重要です。入院中に薬を正しく理解してもらい、治るまでは服用を続けてもらえるように頑張りたいですね。

 そのためにも調剤や薬の管理はもちろん、他部署との情報共有・連携、そして時には医師や看護師と患者様の間に入り治療を進めるサポートと、多岐にわたる業務が必要とされますが、一つずつ大切に、薬剤師だからできることを行っていこうと思います。

薬剤部長メッセージ

 熱心に勉強している新人薬剤師、そしてその新人を引っ張ってくれる先輩薬剤師など若いスタッフがとても頑張ってくれています。

 我々も応援する気持ちと共に、患者様の安心・安全のために薬剤部業務を遂行していきたいと思います。

 

薬剤部長 加藤 恵一 

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