病院で求められる管理栄養士 ~インタビュー~

 医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師・診療放射線技師…病院では様々な職種が 各現場で活躍しており、その中に「管理栄養士」がいます。
 管理栄養士は、栄養管理室という部署に所属し、日々業務に あたっていますが、具体的にどんな仕事をしているのかや、「病院で求められる管理栄養士」といったテーマで、当院の管理栄養士にインタビューを行いました。
 なお、本ページは、医療センターニュース令和2年度(2020年度)冬号の特集/インタビュー「病院で求められる管理栄養士」を再構成したものです。
【インタビュー・撮影 令和2年11月13日(金)】

生活の楽しみでもある“食”を通じて

春のメニュー

右)栄養管理室 室長
管理栄養士 秦 いづみ
左)栄養管理室 主査
管理栄養士 関口 恵子

 栄養管理・食事療法は薬のように即効性はありませんが、“食”というものは、生きるためそして病気や怪我を治すための必須要素であり、入院中は特にその意味合いが強くなります。食事は個人のライフスタイルや嗜好性が大きく影響し、どの患者さんにも当てはまる“一つの正解”というものがありません。栄養指導室にいらっしゃる外来患者さんは家族・仕事・自宅で過ごす時間などが全て異なり、生活のすぐそばに外食や自分の好きなものなど誘惑も多く、一度栄養指導を行っても生活習慣が元に戻ってしまう可能性は低くありません。

 そのため管理栄養士は患者さんが途中で治療からドロップアウトしないためにも、単なる栄養指導ではなく長期的に生活を支えるという気持ちで患者さんと向き合っています。当院では7〜8年と長期で栄養指導を受けていただき、傷病が悪化せずに生活されている方や、30kg以上のダイエットに成功された方もいらっしゃいます。患者さんに納得して取り組んでもらえるような指導を心がけています。

影から生活を支える管理栄養士

 一般的には管理栄養士は何をしているのかあまり知られていないと思います。献立を作成したり、食事に関わる仕事というぼんやりしたイメージが多いかもしれません。しかし、現在の管理栄養士は、患者さんの栄養指導・栄養管理を主な業務とする栄養のスペシャリストです。そのため病院という現場は、特に管理栄養士の力を発揮できる場所だと思います。

 栄養面に問題が無く治療が終了して退院される患者さんは気づかないかもしれませんが、実は管理栄養士は全ての入院患者さんの栄養状態を把握し、栄養計画を作成して経過を見守っています。必要なときは、医師や看護師と協力し、患者さんの元にかけつけます。食事・栄養面で気になることがあればぜひ管理栄養士にご相談ください。

病院管理栄養士に求められること

 「早期栄養介入管理加算」の新設にも見られるように、医療での栄養管理への注目は高まっています。以前は、今ほど医師や看護師から栄養についての相談をいただくことはありませんでした。しかし、最近では管理栄養士が栄養管理室から飛び出し、各病棟での回診や、様々なチームへの参加などの活動を続けることで栄養管理の重要性を理解してもらい、院内の協力体制が確立できたと感じています。

 管理栄養士が活躍する場は、介護施設や学校、行政機関など多岐に渡りますが、中でも病院という現場は特殊だと思います。特に当院は急性期の総合病院ということもあり、様々な傷病をお持ちの患者さんがいらっしゃり、ごくまれな傷病の対応をすることもあります。どんな患者さんでも対応できるスキルが必要となり常に勉強し続けることが必要だと感じています。

 

インタビュー撮影 令和2年11月13日(金)

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